グルテンフリー、セアリック病、グルテン過敏症とは?
このところ、「グルテンフリー(gluten free)」が注目されています。
グルテンとは小麦、大麦、ライ麦などの穀物に含まれるタンパク質の一種のことで、パン、パスタ、うどんなどの、もっちり感や弾力性を出すのに使われています。
このグルテンを摂らないグルテンフリーは、そもそもセアリック病という病気を治療する食事療法から始まっています。セアリック病は、グルテンを摂ることによって小腸の粘膜が傷つけられ、消化や吸収がうまくいかず、便秘、下痢、腹痛、貧血、うつ病、肌荒れ、頭痛など様々な症状を引き起こす病気です。
また、セアリック病とまではいかなくても、グルテン過敏症(不耐症)の人も少なからず存在します。グルテンに過敏に反応して、上記のような症状を起こしやすい人です。体調不良でたまに医者に診てもらっているけれども原因不明で様子見になっているという人は、グルテン過敏症になっている可能性もあります。
グルテンと体の不調を関連付けることは難しいですが、グルテンフリーの時に体調が良くなり、摂取するとまた調子が悪くなるようであれば、グルテン過敏症(不耐症)を疑ってみても良いでしょう。
グルテンフリーと糖質オフの決定的違いはコレ!
グルテンフリーは糖質を含む小麦を摂らないことでした。グルテンフリーと糖質オフは混同しやすいものですが、両者にどんな違いがあるのか、簡単に比較してみました。
<グルテンフリーと糖質オフの比較>
グルテンフリー | (ゆるい)糖質オフ | |
実践方法 | 小麦、大麦、ライ麦などの穀物に含まれるタンパク質の一種=グルテンを摂らないこと | 米、小麦等の炭水化物や砂糖を含む食品、飲料等に含まれる糖質を控えること |
効 果 | 体重の減少 体調回復など |
体重の減少 体調回復など |
体重減少の理由 | グルテンを摂らないことで、血糖値が下がり、脂肪が燃焼するため | 糖質を減らすことで、血糖値が下がり、脂肪が燃焼するため |
グルテンまたは糖質を多く含む食品 | <グルテンを含む食品> パン、ふすまパン、シリアル、麺類、ケーキ、クッキー、ビールなど |
<糖質が多い食品> 白米、玄米、パン、シリアル、麺類、芋類、コーンスターチ、ケーキ、クッキー、ビールなど |
グルテンまたは糖質を含まないか少ない食品 | <グルテンを含まない食品> 米、玄米、芋類、コーンスターチなど |
<糖質が少ない食品> 肉、魚、大豆、チーズ、ふすまパンなど |
表を見てみると、得られる効果や体重減少の理由はあまり変わりません。得られる効果の体調の回復は厳密には異なりますが、ここでは単純化するために体調回復としてあります。
それぞれの実践方法は、グルテンフリーが小麦、大麦、ライ麦に含まれるグルテンを摂らないということに対し、(ゆるい)糖質オフでは小麦等の穀物だけでなく、米や玄米などの炭水化物、糖質を含む食品、飲料なども積極的には摂らないという点が大きな違いです。
具体的には、糖質オフでは糖質が少ないとして推奨される「ふすまパン」は、グルテンフリーではグルテンが含まれるため摂ってはいけない食品となります。なぜなら、ふすまパンは小麦粒の表皮部分を原料として作られているためグルテンが含まれており、またもっちり&ふっくらさせるためにふすま粉に小麦グルテン粉を加えて調理されることもあるからです。
グルテンを含まない米、玄米、芋類、コーンスターチなどは、糖質オフの側から見ると糖質たっぷりで食べる量には注意しなくてはいけません。
まとめ
グルテンフリーはパン、シリアル、麺類、ケーキ、クッキーなどに含まれる小麦由来のグルテンのみを摂らないことで、糖質オフをすることではありません。糖質オフの方が制限する対象食材が広いのです。
もし、ダイエット目的でグルテンフリーをやるとすれば、代替品であるグルテンを含まない食材である米、玄米、芋類、コーンスターチなどを摂ることになりますが、これらの食材は糖質が多い食材ですのでダイエットにはなりません。
グルテンフリーは、欧米人に多いセアリック病患者やグルテン過敏症(不耐症)の方の医療目的が主眼です。日本人には比較的グルテンアレルギーの人は少ないと聞いていますが、パンなどグルテンが含まれる食品を良く食べる方で体の調子の悪い人は、一度グルテンフリーを試してみても良いのではないかと思います。