ダイエットにはカロリー制限という歴史的誤解

カロリーダイエットをするとかえって肥満になる!?

ダイエットに大切なのはカロリー摂取を控えること。カロリー制限(エネルギー制限)によるダイエットはこれまで常識とされてきました。お肉はカロリーが高いからと、食べることを控えたダイエット経験者の方も多いでしょう。

実は、ダイエットには「カロリー制限より糖質制限の方が効果的」という考え方がもはや常識になっています。

食事療法が必要な肥満症や糖尿病の患者にカロリー制限の食事を提供しても、体重や血糖値が下がらないケースが多いのです。むしろ、増えるケースすらあると医療最前線の管理栄養士やお医者さんが気づき始めているのです。

三大栄養素の食事摂取量の推奨が影響か?

カロリー重視の背景には、人間が生きていくために必要な三大栄養素として、「たんぱく質(Protein)」「脂質(Fat)」「炭水化物(Carbohydrate)」とする現代の栄養学や、国の食事摂取基準が少なからず影響しているのではないかと感じています。

ちなみに、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、三大栄養素の理想的な食事摂取量は以下の通りです。

・たんぱく質 13~20%

・脂質    20~30%

・炭水化物  50~65%

これを見ると一目瞭然。もっとも重要なのは50~65%の炭水化物(糖質)で、たんぱく質や脂質の2~3倍の摂取を推奨していることがわかります。

日本糖尿病学会が推奨する糖尿病食は、たんぱく質20%、脂質20%、炭水化物60%の低カロリー、低脂質、高糖質の食事になっています。

こうした考え方に基づく「バランスの良い食事」は、必然的に炭水化物(糖質)の摂取量が多くなってしまいます。

改めて三大栄養素の働きについて再確認してみた

そもそも、栄養学の三大栄養素とは何なのか、簡単に再確認・復習してみましょう。

たんぱく質

「たんぱく質」は、肉、魚介、大豆、卵等に多く含まれ、筋肉、臓器、皮膚、毛髪、血液など身体の大部分を作る重要な成分です。髪の毛を作る役割があるなんて、筆者には相当グッとくる機能ですよ。

脂質

また、肉、魚介、植物油、乳製品等に多く含まれる「脂質」は、細胞膜を作って保護するだけでなく、ビタミンやホルモンの働きを促したりする大切な役割があります。

炭水化物

では、炭水化物(糖質)の役割はどうかというと、糖質が分解されてブドウ糖になり体を動かすエネルギーとなります。エネルギー源、ガソリンのような燃料としての役割しかありません。しかも、使いきれない場合は脂肪になって蓄積されるというのですから注意が必要です。

なお、三大栄養素のそれぞれのカロリーは1g当たり、

・タンパク質 4kcal

・脂質      9kcal

・炭水化物      4kcal

となっています。脂質はたんぱく質や炭水化物より2倍以上高カロリーです。

これがカロリーダイエットの本質

そもそもカロリーダイエットは、摂取カロリー<消費カロリーという考え方の上に成り立っています。高カロリーな脂質やたんぱく質を控え、低カロリーな炭水化物を摂ることが良いとされる所以です。

これでは体に大切な脂質やたんぱく質が不足気味となり、炭水化物(糖質)が増加して体脂肪を増やしていることになります。

また、カロリーダイエットはカロリーを減らすために、時として食べる量そのものを減らすこともあるでしょう。

食べる量の減少が長く続くと、「体内脂肪燃焼→筋肉量減少→基礎代謝低下→消費カロリー減少」という悪循環を引き起こし、やせるどころかかえって太りやすい体になってしまいます。

まとめ

「脂質は太るからあまり食べない方が良い」ことがこれまで常識とされてきましたが、脂質には細胞を作り保護するなどの大切な役割があり、これを摂取しないと不具合を起こす可能性があります。

一方、炭水化物はエネルギー源だけの役割しかなく、使い切らないと脂肪になってしまうという事実を認識する必要があります。エネルギーを無駄なく使い切る人は、運動選手や体を動かして仕事をする人、あるいは20代~30代前半の活動的な人くらいではないでしょうか。

カロリー制限を基本とするカロリーダイエットやこれまでの糖尿病食はもはや限界。誤解を恐れずに言えば、ダイエットの歴史的誤解とすら思えるのです。

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