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血糖値が高いとはどういう状態なのか
血糖値は血液に含まれる糖分、つまりグルコース(ブドウ糖)の濃度のことです。炭水化物などの糖質が消化されるとブドウ糖になり、血管を通して体の細胞に運ばれエネルギー源となります。
この血糖値は膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンによって調整されていますが、インスリンの分泌量やその働きが悪くなり、ブドウ糖が細胞に運ばれずに血管の中に残ってしまうと血糖値が高くなります。
健康診断では空腹時血糖値として示され、126mg/dl以上になると糖尿病が疑われます。またこれが慢性的かどうかは、過去1~2ヶ月の血糖値の状態を示すHbA1c(ヘモグロビンA1c/ブドウ糖と結合した血液のヘモグロビンの割合)を見れば分かります。6.5%以上なら慢性的な高血糖状態が続いていることになります。赤血球は約120日の寿命があり、健康診断直前にスーパー糖質制限をしてもHbA1c値は下がりません。
糖尿病は、食べ過ぎ、飲み過ぎ、運動不足といった生活習慣と関係が深く、糖尿病の中でも二型糖尿病が95%以上となっています。
そもそも血糖値が高いと何がいけないのか
糖尿病は「サイレント・キラー(静かなる殺し屋)」と呼ばれることがあります。血糖値が高くても自覚症状がほとんどなく、放っておくと病気が静かに進行し、自覚症状がないうちに病気が進んで気が付いた時には手遅れになってしまうため、こうした恐ろしい言い方がされる所以です。
しかし、要治療と言われた人の約4割は治療を受けていない実態も明らかになっていて、糖尿病になる人はこれからも増えると思われます。
慢性的な高血糖状態が長い間続くと、全身の血管がダメージを負ってきます。脳梗塞や心筋梗塞といった重大疾患の発症に加え、神経障害(し)、網膜症(め)、腎症(じ)のいわゆる3大合併症(しめじ)になる危険があります。これが本当に怖いことです。
血糖値を下げるにはどうしたら良いか
血糖値を下げる基本は、中年以降は暴飲暴食をせず、決して無理もせず、それまでの生活習慣を見直すことを始めてみましょう。たとえば、次のようなことが実践できているかどうか確認してみましょう。
小刻みウォーキング
“20分の有酸素運動”が良いことが分かっていても、運動習慣のない方には無理です。運動習慣のある方はそのまま継続して結構です。ただし運動習慣の無い方は、通勤時間、勤務時間、休憩時間などを徹底的に有効活用しましょう。
通勤時には、早足で歩く、一つ前の駅で降りて歩く、一つ先の駅まで歩く。お昼は弁当を買わないで少し離れた店で外食する、エレベーターは使わず階段を使う、階段は一段飛ばしにする、トイレは別のフロアなど遠い所に行く、ごみ捨てはデスク下ではなく都度ゴミ箱センターに捨てるなど。
とにかく、小刻みに歩く、歩数を稼ぐ行動を取る、効果を高める歩き方をすることを考えましょう。ウォーキングをすれば、インスリンの働きが良くなり血糖値の改善が期待できます。
食事のリズムを整える
一日3食をできるだけ決まった時間に食べ、寝る前の2~3時間には夕ご飯を済ませて体内リズムを整えることが基本です。
朝食を抜いてはいけません。朝食を抜くと次の昼食や夕食の血糖値が上昇しやすくなり、インスリンの働きが悪くなることが最近の研究で分かってきています。
食べ方のコツを実践
ゆっくりと15分~20分くらいかけて食事を摂っていますか? 早食いやドカ食いは禁止、時間をかけてゆっくりたくさん噛んで食べると血糖値の上昇も穏やかになります。
食べる順番も大事です。これはもう言わずもがなで、「ベジファースト、カーボラスト」です。食事の最初に野菜やきのこなどから食べることで血糖値の上昇は抑えられます。続いて魚やお肉、最後にごはんへと進んでいきます。
さらに、糖質と脂質を一緒に摂ると消化吸収に時間がかかり血糖値の急上昇を抑えてくれます。したがって、糖質の多い食材では、油で炒める、オリーブオイルをかける、揚げ物とのセットでは揚げ物から先に食べるなどの工夫をしてみてください。
GI値の高い食材を摂る
GI値は食後血糖値の上がりやすさを示すグライセミック・インデックス(Glycemic Index)の略です。GI値が高い食品は血糖値が上がりやすく、GI値の低い食品は血糖値の上昇が緩やかです。
高GI食品には、白米、パン/にんじん、かぼちゃ/フライドポテト、せんべい、チョコレートなどがあり、低GI食品には、玄米、全粒粉パン、そば/レタス、きのこ、ブロッコリー/ナッツ類、乳製品、果物などがあります。
GI値の低~中程度の食品を選んで食べること、研究の余地が大いにありそうです。
血糖値を下げる食材を摂る
血糖値を下げる食材があるの?と思われる方もいるでしょうが、野菜に含まれるミネラルやインスリンの分泌を促す成分を含む食材を積極的に摂取することで血糖値の降下が期待できます。
まずは玉ネギ。ミネラル成分が多く、酢玉ネギでもご紹介したように血糖値を下げる食材です。水溶性ですので、水にさらさないよう注意するだけです。
また、アロエの中のアルポランという成分、亜鉛やマグネシウムなどのミネラルを多く含む食材もインスリンの分泌を促して血糖値を下げることが期待できる食材です。
まとめ
血糖値を下げるための5つの新生活習慣はいかがでしたか? どれも簡単で今すぐにでもできることばかりではないでしょうか。
血糖値が急上昇しにくい、あるいは血糖値を下げる生活習慣が身につけば、血管へのダメージは最小限に抑えることができます。 是非今日から実践してみてください。