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スローカロリーは砂糖業界から始まった
糖質オフや糖質制限が徐々に認知され市民権を得てくると、糖質の多いお米や麺、飲料などの食品・飲料製造に関わる方々はかなり気がかりな状況だと思います。既存商品の見直しや低糖質の新商品の開発など、何らかの対応が迫られるでしょう。
糖質のストライクゾーンにある砂糖業界も例外ではありません。砂糖の製造販売を行う三井製糖では、2015年に「スローカロリープロジェクト」を立ち上げ、一般社団法人スローカロリー研究所を設立してスローカロリーの研究・啓発活動が始められています。
スローカロリーの意味とは
スローカロリーは「スローカロリープロジェクト」で、“食べ物の消化吸収がゆっくりあること”と説明されています。糖質にフォーカスして簡潔に言うなら、“糖質をゆっくり吸収させること”ということでしょう。
糖質オフ、糖質制限を実践している人は、糖質の摂取量そのものを制限するということだけに注力することが多いかもしれません。しかしその中でも、野菜は最初に食べる、ネバネバする食品と一緒に食べるなど、糖質の消化吸収をゆっくりさせる工夫をしている人もすでに少なからずいると思われます。
本サイトでも、ゆるい糖質オフの実践のための7つのポイントや調理7つのキーワードの中で、消化吸収をゆっくりさせるポイントを解説していますので、後ほどご説明します。
糖質の消化吸収が早いとどうなるのか
ところで、糖質が早く消化吸収されるよりは、ゆっくりと消化吸収される方が健康的なのでしょうか。理由は二つ考えられます。
一つ目の理由は、インスリンの働きです。糖質の摂取によって血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上がると、すい臓からインスリンが分泌されます。インスリンの働きによって糖を各細胞に送り込み、血糖値が一定値に下がってきます。
ところが、血糖値が急上昇すると、インスリンは余った糖を脂肪細胞に送り込んで中性脂肪として貯め込み、肥満やメタボになってしまいます。これが、インスリンが“肥満ホルモン”と言われる所以です。
スローカロリーによって小腸での糖の吸収をゆっくりさせることができれば、血糖値の上昇はゆっくりとなり、インスリンが中性脂肪として蓄えられにくくなります。
二つ目の理由は、グルコーススパイク(血糖値スパイク)が起こる点です。急激な血糖値の上昇は、すでに「健康診断では見つからない血糖値スパイク、あなたは大丈夫?」で採り上げたように、グルコーススパイクを引き起こして血管を損傷させて動脈硬化を招きやすくなります。その結果、腎障害、網膜症、心筋梗塞などを引き起こすリスクが高まるため、そうならないように糖質をゆっくり吸収させることが重要となります。
糖質をゆっくり吸収させるには
糖質をゆっくり吸収させる方法は、すでに本サイト内でいくつか解説しています。
●「ゆるい糖質オフとは」カテゴリー 5 実践のための7つのポイント
血糖値スパイクの効果的な予防法とは
ここでは簡単に要点を書いておきますので、詳細は各リンクからご覧ください。
実践のための7つのポイント
1.食品、食材の糖質にコンシャスになろう
2.野菜や海藻から先に食べるようにしよう
3.糖質の吸収をゆっくりさせる工夫をしよう(牛乳、納豆、惣菜、軽い運動など)
4.よく噛んでゆっくりと食べよう
5.栄養バランスのとれた食事をしよう
6.できる範囲で軽い運動をしよう
7.自分の体重と体脂肪を記録しよう
ゆるい糖質オフの調理 7つのキーワード
調理の仕方、食べ方の工夫一つで血糖値の上昇をゆるやかにすることができます。
ポイントは、「固・生・大・油・酢・乳・薄」。「カナダ、明日ニュース」と覚えると良いと思います。
血糖値スパイクの効果的な予防法とは
予防法1:ベジファースト、カーボラストで食べよう
予防法2:よく噛んでゆっくり食べよう
予防法3:低GI食品を摂ろう
予防法4:食後に軽い運動をしよう
まとめ
三井製糖は1984年、「パラチノース®」の生産・販売を開始しています。パラチノース®と砂糖で作られた「スローカロリーシュガー」は、消化吸収がゆっくりな機能性甘味料で、すでに食品・飲料などに幅広く使われています。
糖質をゆっくり消化吸収させる食べ方の工夫や調理の工夫について考えてきましたが、糖自体がゆっくりと消化吸収される商品は画期的です。
ゆるい糖質オフ、糖質制限をしながらも、糖質は人間活動にとって必須エネルギーであることを忘れてはいけないと改めて思った次第です。