糖質オフで摂る脂肪を上手に選んだ方が良いワケ

脂質に糖質が含まれないことから起こる素朴な疑問

糖質を多く含む炭水化物などの食品をできるだけ避け、その代わりに糖質の少ない肉、魚、大豆などのタンパク質や脂質、野菜、きのこ、海藻類などのビタミンや食物繊維などを摂るというのが糖質オフの基本です。

糖質オフで血中のブドウ糖が減少した場合、中性脂肪などの体脂肪をエネルギー源として肝臓でブドウ糖を作り出す糖新生が行われ、また、肉、魚介、植物油、乳製品等に多く含まれる脂質は、細胞膜を作って保護するだけでなく、ビタミンやホルモンの働きを促したりする大切な役割もあります。

糖質オフを実践すると必然的に糖質がほとんどない脂質の摂取量が多くなりますが、どんなお肉でも頻繁に食べ続けても良いものなのでしょうか。脂質の摂取の仕方には十分な注意を払わなくてはいけないのではないか、また脂質には摂っても良いものと摂ってはいけないものがあるのではないかという疑問を抱くようになりました。

今回は、糖質オフと脂質の関係から少し考えてみます。

アブラを分類してみたら全体像が見えてきた

アブラは、常温で個体になっている脂(飽和脂肪酸)と、常温で液体になっている油(飽和脂肪酸)の二つに大別されます。これらを合わせて「油脂」と呼ばれています。

油脂は脂肪酸とグリセリンなどからできていますが、油脂は脂肪酸が主成分ですので、この脂肪酸を細かく見ていくと次のような一覧表になります。

これらの分類の中には、オレイン酸、リノール酸やα-リノレン酸、EPA・DHA、オメガ9・6・3など、馴染みのある名前がいくつかあります。

積極的に摂っても良い脂肪酸とは

黄色で色付けした脂肪酸が、積極的に摂っても良いものです。

オリーブオイルに代表される不飽和脂肪酸のオレイン酸(オメガ9は、悪玉(LDL)コレステロール値を下げて動脈硬化の予防が期待できます。

また、アマニ油やえごま油などに含まれるαリノレン酸(オメガ3も体内で合成できない必須脂肪酸で、アレルギー予防や生活習慣病を防ぐ役割があります。

EPA(イコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)はイワシ、サンマ、マグロなどに含まれる魚油で、脳を活性化して認知症を防ぎ、動脈硬化などの生活習慣病を予防することはすでにご存知の方も多いのではないでしょうか。

適量摂った方が良い脂肪酸とは

過剰な摂取をせず適量摂取が望まれる脂肪酸はリノール酸(オメガ6です。リノール酸はコーン油や紅花油などに含まれる必須脂肪酸で、過剰に摂取する人が多くアレルギー症状を悪化させ動脈硬化の原因となると言われています。しかし、だからといってリノール酸が欠乏しても皮膚の状態の悪化、髪の毛のダメージ等の影響があるので、多すぎず適量を摂取することがポイントです。

飽和脂肪酸も過剰に摂り過ぎると、中性脂肪や悪玉(LDL)コレステロールを増やし、動脈硬化などの生活習慣病を招く恐れがあります。しかし糖質オフの実践上は必要なエネルギー源や大切な栄養素となるので、適量摂取が重要になってきます。

極力摂ってはいけない脂肪酸とは

表の分類上には出てきませんが、不飽和脂肪酸の一種で飽和脂肪酸に近い性質を持つトランス脂肪酸は極力避けるべき脂肪酸です。トランス脂肪酸は油脂の加工・精製工程で水素添加によって人工的に作られます。(牛肉や羊肉、乳製品などに微量の天然トランス脂肪酸が含まれていますがこれは対象外です。)

人工的なトランス脂肪酸は、マーガリン(食用油脂が80%以上)、ファットスプレッド(食用油脂が80%未満のマーガリン)、ショートニング(植物油を原料とした常温で半固形状の食用油脂)などがあり、これらを原料とした洋菓子や揚げ物にも、またサラダ油にも微量に含まれ、これらはできるだけ摂取を避けなければいけません。

人工的なトランス脂肪酸を多く摂り過ぎると、悪玉(LDL)コレステロールが増加する一方で善玉(HDL)コレステロールが減少して心臓疾患のリスクを高めるだけでなく、アレルギー疾患になる可能性も高めると言われています。

まとめ

積極的に摂っても良い脂肪酸はオレイン酸(オメガ9αリノレン酸(オメガ3EPA・DHA、適量摂った方が良い脂肪酸はリノール酸(オメガ6飽和脂肪酸、極力摂ってはいけない脂肪酸はトランス脂肪酸ということになりました。

具体的には、次のようなことを実践できれば良いということになります。
・オリーブオイルをドレッシングや調理用の油として使う
・肉より魚をより多く食べるように心掛ける
・肉ばかりの過剰摂取はせず野菜や大豆製品などを加えてバランスの良い食事をする
・マーガリン、洋菓子や揚げ菓子などは極力摂らないようにする

糖質オフでは糖質を減らした分、脂質の摂取量が相対的に多くなります。脂質を正しく摂取しないと悪玉(LDL)コレステロールが増加して動脈硬化を招きやすくなり、アレルギー炎症を起こしやすくなる場合もあるので注意が必要です。

血管年齢が加齢とともに高くなっていくことは仕方ありませんが、血液中で増えすぎた悪玉(LDL)コレステロールによってプラーク(コブ)ができて動脈硬化を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞のような重篤な病気になってしまったら大変です。

摂取する脂肪酸を上手に選ぶことは、糖質オフを実践している人以外にも当てはまります。大事に至らないよう、是非実践してみることをおススメします。

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