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運動不足の解消に向けての課題とは
本サイトでは、「ゆるい運動」を提案しています。
軽い運動や有酸素運動は、食後血糖値の上昇をゆるやかにし、血管への悪影響を最小限にする効果があります。さらには、メタボや糖尿病などのリスクを減らしていくことを考えると、何らかの運動は必須だからです。
いきなり本格的な走り込みや筋トレでは長続きしないことは明らかですので、日常生活の延長線上でできる「ウォーキング」を本サイトでは推奨しています。そしてすでにジョギングなどをしている方には、マラソンイベントなどの参加を目標にすることで、本当の意味での運動の習慣化を目指せるよう提言しています。
しかし自分自身を振り返ってみると、ジョギングはおろか、ウォーキング自体も十分にできていないことが多いことに改めて気づかされました。たとえば、仕事に行くときに早めに家を出ても、その時間はウォーキングではなく仕事や読書に充てる、帰りも家族との時間を取りたいので、手前の駅で降りるようなウォーキングはせずに最寄り駅から帰宅するといった行動を優先してしまいがちです。
仕事が忙しくて運動する時間がない、行動パターンに運動的要素を採り入れられない、そもそも運動は苦手といった課題をどうしたら克服し運動不足を解消できるのか、少し考えていきたいと思います。
ニートとは? そしてニートアップとは?
ニートと聞いて真っ先に浮かぶのは、若い人で仕事等に就かない「若年無業者」(Not in Education, Employment or Training: NEET)のことですがこちらではありません。
今回のニートはNon-Exercise Activity Thermogenesis: NEATというもので、特別な運動をしないで熱量を発生させる活動、「非運動性熱産生」と呼ばれています。
ニート(非運動性熱産生)とは、仕事が忙しくて運動する時間がないのなら、仕事や家事をしているとき、テレビを観ているとき、買い物や電車に乗っているときなど、あらゆる日常的な時間の中でちょっとした工夫によって無意識にエネルギー消費を高めていこうとするものです。そしてこのような日常的なニートを増やしていくことがニートアップにつながります。
1日のエネルギー消費量でニートの割合は?
ここで気になるのは、そもそも人間の1日のエネルギー消費量の中で、体の活動(運動+運動ではないニート活動)でどのくらい消費しているかということです。
調べてみると、「総エネルギー消費量の内訳とバラツキ」に関する文献があり、次のような数値になっています(参考文献:「間接熱量測定法による1日のエネルギー消費量の評価」」田中茂穂、『体力科学』2006 55より、表の一部省略)。
成 分 | 割合 (%) |
個人差 (kcal/日) |
基礎代謝量 | 60 | ±100 |
食事誘発性体熱産生 | 10 | ±50 |
運動 | 0~10 | ±50~100 |
運動以外の身体活動 | 20~30 | ±200~300 |
ここで、「基礎代謝量」とは生きていく上で必要最小限のエネルギー、「食事誘発性体熱産生」とは食物の消化・吸収・運搬するエネルギー、「運動以外の身体活動」がニート(NEAT)で、姿勢の保持(座位を保つための筋の緊張なども含む)、掃除や洗濯などの家事、買い物や通勤などにおける歩行、ガーデニングなどの余暇活動など、様々な筋活動を伴う身体活動が含まれます。
注目すべきは、運動をほとんどしない場合運動割合はほぼ0%となり、運動以外の身体活動によるエネルギー消費量は最大で30%にもなり、個人差としても200~300 kcal/日になることです。
日常生活でのこまめで細かい動作を積み重ねていくと、エネルギー消費で大きな差になることがわかります。
ニートの方法をアイデアフラッシュしてみた
それならばということで、男性ならば日常生活でどのような活動をすれば良いか、つまりニートアップの具体例を筆者なりに少しアイデアフラッシュしてみました。
<職場でのニートアップ術>
- コピーやファックスは自分でする、こまめにコピーをとる
- 用件は相手のところに出向く
- 短い打ち合わせは立って行う
- あえて遠くのトイレを使う
- エレベーターではなくできるだけ階段を利用する
- ランチは社員食堂やコンビニランチではなく外に行く
- 通勤時間は立つ、吊り革につかまっているときはつま先立ちをする
- 電車に座っているときも姿勢を正す、つま先立ちをする
- たまには横断歩道橋を渡り、違う景色を楽しむ
- …
<家庭でのニートアップ術>
- 部屋、洗面所、お風呂、ベランダ、外回りなどの掃除を進んでやる
- たまには雑巾がけをしてみる
- 食器を洗う、拭く、片付ける
- 新聞・郵便・宅急便など自分で取りに行く
- ペット(犬)を飼っていたら出勤前に散歩に連れていく
- 買い物は車より自転車、自転車よりは歩いていく
- 料理にトライして台所に立つ(場合によっては感謝される
- スーパーや専門店を買い回る(1店で済まさない)
- 家庭菜園など新しい趣味に取り組む
- …
<その他ニートアップ術>
- 背筋を伸ばして立つ、座る
- できるだけ立つ時間を増やしてみる
- …
まとめ
ニートアップ術のアイデアフラッシュの結果を見てみると、「歩く」「立つ」「動く」「自分でする」などのキーワードが見えてきました。何事も人に頼まず、頼らず、自分で行う、こまめで細かい動作を重ねていくことがニートアップには欠かせません。
管理職よりは入社間もない「新入社員スタイル」、平成よりはひと昔前の古き良き「昭和的生活」、デジタル生活よりは情緒たっぷりの「アナログ生活」といった中にニートのヒントが隠れています。
身の回りのことや料理があまり得意でないシニアにならないためにも、ここはひとつニートアップを目指そうではありませんか!