健康診断では見つからない血糖値スパイク、あなたは大丈夫?

ぶどうにはたくさんのブドウ糖が含まれている

健康な人が突然死する血糖値スパイクとは

筆者が境界型糖尿病から本格的な糖尿病と宣告された頃、たまたま出会った糖質制限食の本で、「グルコーススパイク」という言葉に出会いました。

これは、“食事をすると血糖値がスパイクのように急上昇のち急降下して正常値に戻り、血管を傷つける”というもので、これは「血糖値スパイク」や「食後高血糖」とも呼ばれます。

当時はそういうこともあるんだなという程度の認識でしたが、このグルコーススパイクすなわち血糖値スパイクは、健康診断では血糖値に何ら異常のない人が突然死するケースがあり、今まで以上に注目され始めました。

2017年10月8日(土)のNHKスペシャルでも「~見えた!糖尿病・心筋梗塞の新対策~」が放送され、蔓延する「血糖値スパイク」の実態と撃退法が紹介されたほどです。

血糖値スパイクは万病のもと

当サイトの「糖質オフ用語」には、「グルコーススパイク(血糖値スパイク)」の用語を掲載しています。

糖質オフ用語
「糖質オフ」を理解するには、糖質制限・糖質オフに関連する用語だけでなく、特に血糖値に関する医学用語などの知識も必要になってきます。糖...

そこでは、血糖値の大きな変動によって活性酸素等が発生して血管を傷つけ、動脈硬化を招き、腎障害網膜症心筋梗塞などを引き起こすリスクを高めるとしました。これは境界型糖尿病である糖尿病予備軍や糖尿病を発症して間もない人を中心としたリスクです。

グルコーススパイク(血糖値スパイク)の健康への影響はこれだけではありません。血糖値が正常で健康な人でも、血糖値の急な変化が繰り返され、細胞から活性酸素等を発生して血管を傷つけ動脈硬化を起こします。その結果、心臓をつなぐ太い血管の血流が滞り、心筋梗塞となって突然死を招く可能性があります。

また、血糖値の急激な変化は、認知症やがんのリスクを高めることも判ってきました。血糖値を下げようと膵臓から大量のインスリンが分泌されると、アミロイドベータという老廃物が脳内に蓄積して神経細胞を壊し、認知症の原因となるとされています。

さらには、インスリン自体には細胞を増殖させる機能があるため、がんの進行を早めるリスクもあるとされます。

血糖値の急激な上昇後の急激な下降により、時として低血糖状態になることもあります。低血糖は、空腹、発汗、震え、イライラ、頭痛、集中力の低下、眠気などを引き起こす可能性があり、仕事の効率も落ちます。ランチ後、集中力の低下や特に睡魔に襲われる人は、一度血糖値スパイクを疑ってみる方が良いかもしれません。

血糖値スパイクが起きているかどうかを調べる方法

会社が行う年1回の健康診断では、グルコーススパイク(血糖値スパイク)は通常検査項目にありません。しかし、外部の病院では人間ドックで検査項目になっている場合もありますし、要望に応じて受診できる場合もあるようです。

この検査は「ブドウ糖負荷試験」と呼ばれ、筆者も一度検査した経験があります。糖尿病が疑われる場合、75gのブドウ糖を飲み、その後の血糖値とインスリン値から糖の代謝能力が正常か、代謝能力が低下している場合、どのようなタイプか等を調べる検査です。

採血は開始時、30分後、60分後、120分後の4回行われ、尿検査を行う場合もあります。2時間は、激しい運動や長時間の歩行などせず、普通に安静に過ごします。

筆者の場合には、開始時の血糖値は94 mg/dl 、30分後は166mg/dlまで上昇、60分後には131 mg/dlまで低下しましたが、120分後153 mg/dlまで再び上昇しました。膵臓のインスリン分泌機能が低下していたため、糖負荷試験でも食後高血糖の状態が続いていたようです。

なお、血糖値スパイクの検査を家庭で手軽に行うには、食後に尿を採って尿糖試験紙などで調べる方法もありますので検討してみても良いでしょう。

血糖値スパイクの効果的な予防法とは

では、万病のもとである血糖値スパイクを予防するにはどうすれば良いでしょうか。ポイントは、糖の吸収をゆっくりさせて、血糖値の急上昇を防ぐことにあります。

予防法1:ベジファースト、カーボラストで食べよう

すでに多くの人実践している食事法です。最初には食物繊維が豊富な野菜から食べること(ベジファースト)で糖の吸収がゆっくりになります。次に魚やお肉を食べ、最後に炭水化物を食べること(カーボラスト)で血糖値の上昇がゆるやかになります。

予防法2:よく噛んでゆっくり食べよう

食事はよく噛んでゆっくり食べることを心掛けましょう。よく噛んでゆっくり摂る食事は、血糖値の急上昇を押さえ、満腹感も出て食べ過ぎを防ぎます。早食いは体への負担が大きいと思ってください。

予防法3:低GI食品を摂ろう

食後血糖値の上昇度を示すGI値は、白いご飯や食パンなどの高GI食品ほど血糖値が急激に上昇します。ご飯なら玄米や五穀米、パンなら全粒粉パンやふすまパンなどの低GI食品をできるだけ摂るようにしましょう。

予防法4:食後に軽い運動をしよう

食後に軽い運動をすると、それまで消化のために胃腸に集まっていた血液が手足の筋肉などに流れ、腸からの糖の吸収をゆるやかにします。食後直ぐは胃に負担がかかりますが、糖負荷試験の検査のように、20~30分後から2時間後の間に軽い運動ができると理想的です。1週間に1度くらいは少し遠出してランチを食べ、散歩して帰ってくるなどの工夫をしましょう。

まとめ

食後、血糖値がスパイクのように急上昇のち急降下して血管を傷つけるグルコーススパイク(血糖値スパイク)は本当に怖いものです。

しかし、日常の食習慣や生活習慣を少しだけ見直すだけで、血糖値スパイクを軽減し重大な病気になるリスクを押さられることが分かりました。

食後血糖値は、空腹時血糖値やHbA1c(ヘモグロビンA1c)に続く、糖尿病や突然死、認知症などを防ぐ第3の数値。健康診断のついでに、糖負荷試験を受けてみる価値が大いにありそうです。

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告336×280
レクタングル(大)広告336×280

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする