揚げ物とアルコール好き必見!糖質オフはコレに気をつけて

胸部CT検査でわかる大動脈石灰化とは?

唐突に筆者の話で恐縮ですが、糖質オフを始める以前の2011年頃から健康診断で大動脈石灰化が判定Bとして確認され始めていました。約6年継続して同様の判定が続いており、直近の健康診断結果のコメントは次のように書かれています。

大動脈に石灰化所見が認められました。石灰化は動脈硬化の一部と考えられますが、加齢に伴う要素が強く、特別な治療の必要はありません。今後もバランスの取れた食生活や適度の運動習慣を心掛けて、動脈硬化の進行を予防しましょう。

心臓から全身に血液を通す大きな血管である大動脈が石灰化し始めていることは、加齢の影響かもしれませんが、ややショッキングな診断です。特別な治療の必要がないとは言え、このまま石灰化が進めば、心筋梗塞や脳梗塞という血管疾患となる可能性が高いということになりますからね。

血管の石灰化はなぜ起こる?

血管は加齢によって皮膚と同じように弾力性がなくなり、徐々に動脈硬化が進行していくのは仕方のないことですが、どのようにして大動脈の血管が石灰化するのでしょうか。加齢以外の要因もありそうです。

動脈硬化を引き起こす因子として、糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙などの生活習慣、運動不足、偏った食事、過度の飲酒、過度なストレスなどが考えられます。その場合、悪玉(LDL)コレステロールが必要以上に増えていきます。

初期には、悪玉(LDL)コレステロールは変性して血管の壁にプラーク(こぶ)を作り、血液が流れづらくなります。これがさらに進行すると血液中のカルシウムがプラーク(こぶ)に沈着し、血管自体が硬くなっていきます。これが石灰化と呼ばれるもので、動脈硬化の初期段階というよりはやや進行した場合の状態といえるものです。

しかし、カルシウムが沈着するからと言ってカルシウムを摂らないと、骨からカルシウムが溶け出して不足分を補おうとし、増加した分が血管等に沈着して動脈硬化の原因となってしまいます。この生理現象は「カルシウムパラドックス」と呼ばれています。

血管の石灰化を防ぐには

動脈の石灰化をきれいに取り除く薬や手術は今のところ存在しません。血液の流れが悪くなければ、これ以上石灰化をさせないことが重要になってきます。

それを理解した上で、次のような取り組みが有効となってきます。

・動脈硬化の危険因子(糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙、肥満など)を取り除く

・食事からのカルシウムの適切な摂取(小魚、海藻、豆類など)

・有酸素運動による血管の若返り(ストレッチ、ウォーキング、ジョギングなど)

・バランスの取れた食事

・アルカリ性食品やコレステロールを減少させる食品の摂取

動脈硬化と糖質オフの関係

糖質オフでは糖質を減らした分、脂質の摂取量が相対的に多くなります。脂質を正しく摂取しないと悪玉(LDL)コレステロールが増加して動脈硬化を招きやすくなり、アレルギー炎症を起こしやすくなる場合もあるので注意が必要です。

脂質は選んで摂取した方が良いことは、「糖質オフで摂る脂肪を上手に選んだ方が良いワケ」でも書きましたので詳細はこちらを参考にしてください。

糖質オフで摂る脂肪を上手に選んだ方が良いワケ
脂質に糖質が含まれないことから起こる素朴な疑問 糖質を多く含む炭水化物などの食品をできるだけ避け、その代わりに糖質の少ない肉、魚、大豆など...

糖質オフは、「お肉が食べ放題!」、「揚げ物もゆるい糖質なら食べ放題!」、「糖質オフは蒸留アルコールなら糖質はゼロだから飲み放題!」…などと信じている人はいませんか?

実はこうした考えは今後改めていった方が良いと思います。そればかり過剰に摂り続けるのではなく適量を守っていきましょう。

牛肉・豚肉・鶏肉の脂身の過剰に摂取し続けると動脈硬化の原因となります。揚げ物に使うリノール酸(オメガ6)も現代人は多く摂り過ぎていて動脈硬化の原因となっていますので、適切な量の摂取が望まれています。揚げ物やお肉の食中飲料として相性の良いアルコールも、適量であれば確かに動脈硬化の予防が期待できますが、過剰な摂取は逆に動脈硬化の原因となることが分かっています。

オリーブオイルなどを上手に使いながら、肉より魚をより多く食べるように心掛け、野菜や大豆製品などを加えてバランスの良い食事を心掛け、何よりほどほどにして適量を守ることが必要だと思われます。

まとめ

動脈硬化を促進する危険因子の一つに糖尿病があります。筆者の場合にも、境界型糖尿病から2012年に糖尿病と診断された時期とちょうど重なって大動脈の石灰化の所見がでました。それまでの生活習慣が大きく関わっていたと考えられます。

糖尿病と診断された時の状況は「実践データ」にありますので参考にしてください。

実践データ
糖尿病になる境い目が「境界型糖尿病」 筆者は加齢とともに、会社の健康診断で「境界型糖尿病」を宣言され続けていました。 “境界型”...

幸いにして、筆者は健康診断に胸部CT検査があり大動脈石灰化が発見されていますが、読者の方で、お肉や揚げ物が好き、アルコールも相当いける口であれば、一度検診されてはいかがでしょうか。

脳血管疾患や心疾患といった動脈硬化症がらみの死因は3割近くあり、がんに匹敵するものになっています。手遅れにならないように胸部CT検査を受けてご自身の状態を知り、もし石灰化がある場合には動脈硬化の進行を遅くする取り組みを始めるに越したことはありません。

体重の減少やヘモグロビンA1cの減少で一喜一憂するより、血管のプラークを作らないことや血管を石灰化させない、石灰化の進行を止めることの方がはるかに優先度が高いのです。

バランスの取れた「ゆるい糖質オフ」で、これまでの生活習慣を変えることができればしめたものです。自戒を込めて…。

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