糖質オフは単純に炭水化物を止めるだけでは絶対に成功しない理由

糖質オフをするときつい見落としがちなこととは

糖質オフは、三大栄養素の炭水化物、タンパク質、脂質のうち、炭水化物に含まれる糖質を控えることです。糖質は炭水化物から食物繊維を除いたもので、砂糖などの甘いものだけでなく、ごはんや芋類に含まれるデンプンなども含まれます。

つまり主食や主菜を少なくして、肉、魚、大豆などのタンパク質、野菜や海藻などのビタミンや食物繊維を摂ることが必要になってきます。筆者にも経験がありますが、ごはんやパンを急に摂らなくなると、食物繊維が不足ぎみになり便秘症状になったことがありました。

便秘になるのは腸内環境の悪化によるものですね。腸内環境が悪化すると、疲れがたまり免疫力が低下して病気をしやすくなり、新陳代謝も悪くなって肌荒れにもなる可能性もあります。これは、糖質オフによる生活習慣病の未病策自体が生活習慣病を引き起こす原因となるようなゆゆしき問題です。

糖質のある食材を少なくした分、その他の食材でどうバランスを取るか、つい見落としがちなことだと実感しています。今回は糖質オフを成功させるための栄養バランスの取り方について考えてみます。

国が策定した「食事バランスガイド」を見ると

バランスの良い食事と聞いて思い浮かぶのは、2005年に厚生労働省・農林水産省が策定した「食事バランスガイド」です。何のこと?と思う人は、コマのイラストを使ったあのガイドというと思い出すかもしれません。

この「食事バランスガイド」では、料理の食べる量がサービング数「つ(SV)」という単位で示され、1日分の目安として主食は5~7つ(SV)、副菜は5~6つ(SV)、主菜は3~5つ(SV)、牛乳・乳製品2つ(SV)、果物2つ(SV)となっています。適切な量の料理と水・お茶を摂り、運動も行ってコマのバランスを保って回転させていこうというものです。

主食の単位数が5~7つ(SV)というのは、活動量が普通以上の女性か活動量が低い男性の数値で、活動量が低い女性の数値でも4~5つ(SV)となっています。主食の1つ(SV)は、ごはん小1杯=おにぎり1個=食パン1枚=ロールパン2個、主食の1つ(SV)は、うどん1杯=もりそば1杯=スパゲティーと示されています。

1日の食事バランスをチェックするこのツールは自分の食生活の傾向を発見でき、どのような料理を食べればよいかが分かるスグレモノです。しかし、料理の内容や量の目安は置かれた生活スタイルや健康状態によっても異なってきますから、各人で調整が必要です。

個人的な感想ですが、糖質オフの視点からみると主食の5~7つ(SV)、活動量が低い女性の数値4~5つ(SV)はやや量が多過ぎるのではないかと思います。

日本には「一汁三菜」の食文化があった!

ところで、日本には伝統的な食文化である「一汁三菜(いちじゅうさんさい)」があります。「一汁三菜」を基本とする日本の食事スタイルは理想的な栄養バランスと言われ、2013年にユネスコ無形文化遺産にも登録されています。

「一汁三菜」の構成要素は次の通りです。

主食:米、パンなどの炭水化物
主菜:魚、肉、大豆製品、卵など主となるタンパク質や脂肪のおかず
副菜:野菜、海藻、きのこなどのビタミン、ミネラル、食物繊維のおかず
汁物:具入りみそ汁など

一汁三菜は、摂取量の多い少ないはあるでしょうが、三大栄養素である炭水化物(糖質)、タンパク質、脂質だけでなく、ビタミンやミネラルを加えた五大栄養素や、食物繊維まで摂取でき、栄養バランスが理想的です。

「食事バランスガイド」や「一汁三菜」を見て明らかなように、どちらもエネルギーをしっかり摂ったうえで、様々な栄養素を幅広く摂取しています。一般的にバランスの良い食事とは、「エネルギー源と基本的な栄養素を適切に摂取する食事」とここでは定義してみましょう。

糖質オフを実践する場合のバランスの良い食事とは?

糖質オフを実践する場合には、エネルギー源である糖質を制限する必要があります。糖質オフを実践する場合のバランスの良い食事は「糖質を減らして、基本的な栄養素を適切に摂取する食事」ということになります。

では糖質を減らしてバランス良くするためにはどうしたら良いのでしょうか。その方法をいくつか考えてみます。

一汁三菜スタイルを守る

白米や麺類を摂らない代わりに、たとえば糖質のほとんどないお肉や大豆製品のような“単品”だけをずっと食べ続ければ良いというのは行き過ぎでしょう。糖質制限食においても、分かりやすい「一汁三菜」の原則を守り、できるだけ多くの種類の食品を摂り、いろいろな栄養素がミックスすることが重要だと思います。

副菜の糖質にも注意を払う

しかし主食を減らすからと言って、副菜の野菜料理に芋やかぼちゃなどを持ってきたら元も子もありません。肉ジャガやポテトサラダ、かぼちゃサラダなどは糖質が高く、主食と考えた方が良いと思います。

食べる順番と速さに気をつける

一汁三菜の食べ方は「三角食べ」が基本です。順番にまんべんなく三角形を描くように食べることがゆっくり食べることに繋がり、血糖値の急激な上昇を防ぐことにもなります。また、主食や糖質系のおかずがある場合には、ベジファースト&カーボラストをできるだけ守うようにしましょう。

一日単位で糖質制限食を考える

朝食や夕食では糖質オフがうまくいっても、サラリーマンは昼食で糖質オフがしにくい場合が多いでしょう。糖質オフは1回ごとの食事も大切ですが、1日の食事トータルで評価する視点を持ってみましょう。ランチに付き合いで麺類を食べた日の夕食は、白米を控えながら栄養素のバランスを考えた食事をすることです。

まとめ

健康に関する情報が世の中にはたくさんあり、食べ物はその傾向が特に顕著です。

たとえば、緑黄色野菜は体に良い、大豆は畑のお肉でヘルシー、乳製品は腸内環境を良くする、玄米・五穀米・十穀米は健康に良いなど、例を挙げるときりがありません。しかしだからと言って、そればかり食べるとかえって逆効果で体調を崩すこともあります。

糖質オフ、たとえゆるい糖質オフの場合でも、それを健康的に継続させるためには、バランスの良い食事が必要不可欠です。主食を完全に抜く厳しい糖質制限食では、栄養バランスがかえって崩れる可能性があります。

栄養素は単体で機能するのではなく、他の栄養分も一緒に摂って初めて効果的に消化吸収されるということを改めて肝に銘じたいと思います。

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