1日の必要糖質量を「ゆるい糖質オフをしようねっと」なりに試算してみた

1日に必要なエネルギー量を確認してみる

厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2015年版)は、「健康増進法に基づき、国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び栄養素の量の基準を示す」ことを目的に、5年毎に策定されているものです。

まず、1日に必要なエネルギー量を見てみると、身体活動レベルが普通(低い)の男性は、30~49歳で2,650kcal(2,300kcal)、50~69歳で2,450kcal(2,100kcal)となっています。身体活動レベルが普通(低い)の女性では、30~49歳で2,000kcal(1,750kcal)、50~69歳で1,900kcal(1,650kcal)です。

本稿では、健康が気になる50歳前後の身体活動レベルが普通(低い)人を想定したいと思いますので、上記の中央値をとって、

  男性は2,550kcal(2,200kcal)

  女性は1,950kacl(1,700kcal)

が1日に必要なエネルギー量としてみましょう。

括弧で身体活動レベルが(低い)というのは、たとえばデスクワーク中心で運動不足の方を想定し、その場合必要なエネルギー必要量はより少なくなっています。

なお、基礎代謝量というのは、覚醒状態のような状態でも生きていくために最低限必要となるエネルギー量です。ダイエットでは、基礎代謝を高めるために筋肉を鍛えなさいと言われますね。これも「日本人の食事摂取基準」(2015年版)を参考に、50歳前後の数値を記載しておきます。体重等により異なりますのであくまで参考値です。

  男性は1,500kcal

  女性は1,150kacl

3大栄養素の摂取割合を確認する

生命維持に欠かせない3大栄養素の摂取量についても、「日本人の食事摂取基準」(2015年版)に書かれています。

「エネルギー産生栄養素バランス」(% エネルギー)は、18~69歳では次の通りです。

  たんぱく質  13~20(16.5)

  脂質     20~30(25)

  炭水化物   50~65(57.5)  ※( )は中央値

たんぱく質には必要量の算定があり、脂肪も目標量が算定されているので、栄養素バランスは、「たんぱく質の量を初めに定め、次に脂肪の量を定め、その残余を炭水化物とする」決め方をしているようです。

総エネルギーに占める割合は、炭水化物は中央値をとって57.5%とすることとします。これは、1日に必要な総エネルギー量の半分以上の57.5%を、炭水化物(=糖質)から摂るという意味になります。

なお、「日本人の食事摂取基準」(2015年版)では、糖質の必要量ではなく炭水化物または消化性炭水化物の必要量という表現ですので、炭水化物=糖質として話を進めています。

エネルギー換算係数のおさらい

食品のエネルギーは、たんぱく質、脂質、炭水化物それぞれについて、定められたエネルギー換算係数(1g当たりの利用エネルギー量)を用いて計算されます。

一般的に広く使用されるエネルギー換算係数は、研究者の名前に因んでAtwater(アトウォーター)係数と呼ばれるもので、食品全般の平均的な値で使いやすくなっています。

これによると、たんぱく質、脂質、炭水化物のエネルギー量は次の通りです。

  タンパク質 4kcal/g

  脂質    9kcal/g

  炭水化物  4kcal/g

必要な糖質量を栄養素バランスから算定

1日に必要な男女のエネルギー量と基礎代謝量、3大栄養素の中の炭水化物の総エネルギーに占める割合、エネルギー換算係数について確認し、ここで全ての数値が出揃いました。

いよいよ1日に必要な糖質量を計算してみます。計算式は、「1日に必要なエネルギー量×炭水化物の総エネルギーに占める割合÷エネルギー係数」です。

<50歳男性>

身体活動普通 2,550kcal×0.575÷4 kcal/g=367g

身体活動低い 2,200kcal×0.575÷4 kcal/g=316g

<50歳女性>

身体活動普通 1,950kcal×0.575÷4 kcal/g=280g

身体活動低い 1,700kcal×0.575÷4 kcal/g=244g

身体の活動では個人差がありますので、「日本人の食事摂取基準」(2015年版)の数字から1日に導かれる必要な糖質量は、

  50歳男性は340g

  50歳女性は260g

  よって50歳男女では300g前後

とざっくり把握しておきましょう。ちなみに糖質300g前後とは、ご飯(約55g)なら5~6膳相当です。

しかしこの糖質量は、あくまでエネルギー産生栄養素バランスから算定した数字であることに注意が必要です。

必要な糖質量を基礎代謝量から算定

「日本人の食事摂取基準」(2015年版)の「炭水化物摂取基準」には、以下の趣旨の記載があります。

・炭水化物は、ぶどう糖しかエネルギー源にできない脳、神経、赤血球などの組織にぶどう糖を供給

・脳は、基礎代謝量1,500kcalの20%にあたる300kcal(=ぶどう糖75gに相当)を消費

・脳以外の組織もぶどう糖が必要なので、糖質の最低必要量は1日100gと推定

しかし、肝臓は必要に応じて糖新生を行ってぶどう糖を供給し、乳児以外の人は1日100gよりはるかに多い炭水化物(糖質)を摂取しているので、必要量を算定する意味も価値も乏しく、「日本人の食事摂取基準」として必要量を設定しないとしています。

どうやら、1日100gというのも、糖質の最低必要量でもないようです。

必要な糖質量を日本糖尿病学会はどう見ているか

日本糖尿病学会の「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言」(2013年3月プレスリリース)も見てみました。

炭水化物摂取比率を50~60%エネルギーとし、1日摂取量150g以上を目安にすることを勧めています。

総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限することは、食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められないとしています。

ただ、炭水化物摂取量について論議がなされ、今後日本糖尿病学会として積極的に調査・研究の対象とすべき課題であるとしていますから、期待したいところです。

まとめ

これまで見てきた、1日に最低限必要な糖質量は以下の通りとなりました。

 ・栄養素バランスから算定  300g

 ・基礎代謝量からの算定   100g

 ・日本糖尿病学会の推奨   150g以上

栄養素バランスから導いた300gは、糖質オフの生活をしていない人は300g程度を普通に摂っている糖質量ではないかと思います。これ以上の方もかなり多いでしょう。

日本糖尿病学会の数字も、エネルギー産生栄養素バランスから導かれたもので、150g以上では1食50g以上となり食後高血糖や糖質の過剰摂取になりかねません。

基礎代謝量から算定した100gは、生きていくための最低限必要なエネルギー量ですが、肝臓による糖新生もあることから一つの基準値にはなりそうです。

参考までに、糖質制限食(ローカーボ・ダイエット)の先進国米国の糖尿病専門医リチャード・バーンスタイン医師は、炭水化物の摂取量を1食43g以下、1日130g以下を目標としています。

こうした結果や状況を踏まえ、当サイト「ゆるい糖質オフをしようねっと」でも、

 ・ゆるい糖質オフをしようねっと 120g~130g以下

を、1日に摂取する糖質量として数値を持っておきたいと思います。

一食につき40g×3食+間食10gを基本に、ややご飯の量を増やして43g×3食としても、体重が増加気味の時は間食を止めて40g×3食として120gとしても覚えやすい数字です。

注:科学的根拠に基づかない本サイトでの目標値です。あくまで参考値としてご理解ください。

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