AGEがAGE(老化)の原因ってどういうこと?
「年をとりなくない」「年を取った自分を認めたくない」「できれば、若い時の自分のままでずっといたい」「不老不死の薬があったら…」など、誰もが少なからずこんな願望をどこかに持っているでしょう。
しかし、現時点では年齢とともに老化は確実にやってきてしまいます。見た目には、しわ、たるみ、くすみが目立ち始め、肌の弾力性がだんだん無くなります。見えないところでも血管が傷ついて骨がもろくなり、徐々に老化が進んでいます。
今回テーマにしたAGEとは、Advanced Glycation End Productsの頭文字を取ったもので、「終末糖化産物」と訳されています。AGEは数十種類あるため、AGEsと書かれることもあります。AGEは、タンパク質の糖化反応でできた物質のことで、老化の原因物質とされています。
AGEがAGE(老化)の原因なんてダジャレのような話。偶然の一致とはいえ、笑って済まされるものではありませんね。
AGEが体内で増加する2つの仕組み
繰り返しますが、AGEはタンパク質の糖化反応でできた老化の原因物質です。
糖化反応は、この研究をしたフランス人メヤールに因み、英語読みで「メイラード反応」と呼ばれています。タンパク質のようなアミノ化合物と糖を熱すると褐色になる反応のことです。唐揚げやホットケーキなどが美味しそうなキツネ色になりますが、これがまさにメイラード反応で、老化の原因物質であるAGEが発生していることになります。
AGEが体内で増加する要因は、①体内で生成されるか、②体外の飲食物から摂取する、の2つです。
①体内で生成される
糖質の高い飲食により、高血糖になると体の細胞を作っているタンパク質と糖が結びつき、体温で糖化反応が起こってAGEが発生します。
AGEは、体内の糖が多ければ多いほど、また高血糖の状態が長ければ長いほどその量が多くなります。
②体外の飲食物から摂取
タンパク質と糖の加熱による糖化反応でできた飲食物を体外から摂取することで、体内のAGEが増加します。
揚げ物やよく焼けた肉のように、キツネ色の度合いが高いほどAGE値が高くなります。また、飲食物に含まれるAGEの約7%が体内に蓄積されることが分かっています。
全てはコラーゲンの糖化が原因だった
コラーゲンはタンパク質の一種で、体内のタンパク質のほぼ30%と大きな割合を占めています。コラーゲンは大雑把に皮膚に約4割、骨・軟骨に約2割、その他靱帯、腱、血管、内臓等に約4割の割合で分布しています。
体内の糖分が皮膚のコラーゲン、骨や軟骨のコラーゲンと結合して糖化物質AGEを作り、肌・骨・軟骨・血管等の老化を進行させることになります。皮膚はコラーゲンが4割もありますから老化ダメージが最も大きい部分で、しわ、くすみ、たるみなどを引き起こします。
ここで糖質オフを実践している人を考えてみましょう。高血糖状態が長く続いたり急に血糖値が上昇することは少ないと予想されますから、体内の糖化によって生成される老化物質はわずかです。ただ、体外からの飲食物によるAGEの摂取があり、また血糖値が正常であってもAGEの量は年月とともに多くなりますので、老化はゆっくりと進むことになります。
反対に、糖質たっぷりの食事習慣や清涼飲料水を多く飲む習慣のある人、糖尿病予備軍の境界型糖尿病の人、すでに糖尿病疾患にかかっている人などは注意が必要です。こうした人の体内には糖化反応によって多くのAGEが蓄積され、肌の老化が加速して弾力性が失われていきます。
骨粗しょう症になりやすくなりますし、脳梗塞、心筋梗塞になる可能性も否定できません。
老化しづらくするためのたった一つのポイントとは
老化物質であるAGE(終末糖化産物)を見てきましたが、美肌を保ち、体も老化をしづらくするいくつかのポイントがあるように思います。それらを列挙すると次の通りです。
<ポイント>
・糖質の低い食品を摂る
・血糖値の急上昇を防ぐ低GI食品を摂る
・血糖値の急上昇を防ぐ順番で食べる(野菜が先、炭水化物は最後)
・食後の軽い運動で血糖値の上昇を防ぐ
・揚げる、焼くなどの加熱料理を避ける(茹でる、煮る、蒸す、加熱しすぎない)
・良質のたんぱく質(肉、魚、卵、乳製品、大豆製品など)を摂る
・抗糖化食品を摂る(ドクダミ茶、日本茶、ショウガ、シナモン、ニンニク、発酵食品など)
こうして見ると、糖質オフの食事とほとんど一致していることに改めて気づかされます。
老化しないためのたった一つのポイントとは、糖質オフ、それも長続きする「ゆるい糖質オフ」を実践するということになります。
まとめ
年を重ねるごとにコラーゲンの糖化は進行し、肌を始めとする体内の細胞組織が老化していきます。これは仕方ありません。しかし糖尿病になると、老化のスピードは加速します。
糖化したコラーゲンはなかなか減少しづらいとも言われますが、筆者は今からでも決して遅くはないと思っています。
老化がコラーゲンの糖化に由来するなら、老化物質AGEをこれ以上増やさないようにするか、コラーゲンを多く含む食品を摂取すれば、アンチエイジングができることになります。
ゆるい糖質オフをやっている人は、糖尿病の未病やダイエットなど人それぞれの理由があります。その目的とは別に、老化物質AGEの増殖を抑えて老化しづらくなる恩恵を受けるとは、かなり得した気分ですね。
ここだけの話として、できれば内緒にして知られたくないくらいウレシイ話です。