30代半ば、突然足の親指が赤く腫れ痛くなった!
筆者の例ですが、30代半ばある日突然、片足の親指が赤く腫れて痛くなりました。当初、靴擦れかどこかにぶつけたのか程度に思っていましたが、仕事が忙しい時やアルコール摂取が続いたりした場合に発症するため、後からになってこれが痛風発作だということが分かりました。
痛風は、“風が吹いても痛い”とか“贅沢病”などと形容されます。実際、一度発作が起こると、風が吹くどころか寝ているような無風状態でも足の親指などに激痛が走り寝返りを打てないほどです。
健康診断の尿酸値は、痛風の基準となる7.0mg/dlをわずかに超える7.1〜7.3mg/dl程度の状態でした。決して贅沢はしていないのですが、アルコール摂取などがきっかけで発作が起こりやすく、現在でも数値のコントロールには注意を払っています。
尿酸値が高めで境界型糖尿病・糖尿病も経験している筆者にとって、痛風と糖尿病の関係は気になります。ここでは、痛風(高尿酸血症)と糖尿病(2型糖尿病)の関係について少し見ていきたいと思います。
痛風と糖尿病の相違点・共通点とは
痛風(高尿酸血症)は、血液中の尿酸(プリン体から作られたもの)が増えすぎて結晶化が起こり、白血球が異物と見なして攻撃し関節炎(痛風発作)を起こす病気です。
一方、糖尿病はすい臓で作られるインスリンというホルモンの分泌や働きが悪くなり、筋肉や肝臓などの細胞に取り込まれにくくなって血液中のブドウ糖(=血糖)が慢性的に高くなる病気です。
単純比較はやや無理がありますが、痛風(高尿酸結晶)と糖尿病を簡単な一覧表にしてみました。
痛風(高尿酸血症) | 糖尿病 | |
病状と基準値 | 血液の尿酸値が慢性的に高い状態 | 血液の血糖値が慢性的に高い状態 |
尿酸値7.0mg/dl以上 | 空腹時血糖値126mg/dl以上 (境界型糖尿病は110mg/dl以上) |
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症状 | 足の親指、足首、膝等の急性関節炎 | 喉の渇き、多飲、多尿、多食、体力減少など |
原因 | 体質遺伝、生活習慣(肥満、過食〈プリン体の摂り過ぎ〉、アルコール摂取、運動不足、ストレス等) | 体質遺伝、生活習慣(肥満、過食、アルコール摂取、運動不足、ストレス等) |
合併症 | 腎臓病、尿路結石、動脈硬化 | 三大合併症(神経症、網膜症、腎症)動脈硬化 |
治療方法 | 生活習慣の改善、投薬 | 生活習慣の改善、投薬 |
痛風は血液中の尿酸値、糖尿病は血液中の血糖値を調べ、それぞれの病状や基準値、症状にはもちろん違いがあります。
ところが、この二つの病気は体質・遺伝的要素や生活習慣が原因となっていて共通しています。合併症では腎症や動脈硬化が共通していて、治療においても生活習慣の改善が求められるなど、多くの共通点があります(青文字の部分が共通点)。
尿酸は食べ物のプリン体から2割、細胞の新陳代謝から8割
話題が少し変わりますが、2017年1月4日に放送されたNHK ガッテン!『プリン体じゃなかった!尿酸値を下げる秘策SP』は衝撃的な事実を教えてくれました。
それが、尿酸は食べ物のプリン体から2割、細胞の新陳代謝からが8割ということで、1日1杯の牛乳や低脂肪ヨーグルトが尿酸の排せつを促して尿酸値下げてくれるというものです。牛乳や低脂肪ヨーグルトにはカゼインが含まれ、胃腸でアラニンという成分に変わって尿酸の排せつを促してくれるのです。
参考までに、筆者の冷蔵庫にある牛乳の炭水化物(糖質)は200mlで9.6g、ヨーグルトは100gで5.3gとなっていますので、ゆるい糖質では十分にOKな数字です。
乳製品以外で尿酸値を下げるコツとして、ビールだけでなくお酒そのものを控える、尿酸を作るスイーツは食べ過ぎない、野菜は尿酸を排せつ作用があるのでたくさん食べる、水は大幅に尿酸値下げないが尿酸値を下げ尿路結石の予防にもなるなど、貴重な情報が提供されました。
これまでプリン体の多いレバー、あん肝、干物、干しシイタケなどを極力控えてきたのですが、その影響力はたった2割で、細胞から8割もプリン体が作られていることには驚きです。
ただ、2割の影響力でもプリン体の多い食べ物には気をつけた方が良いと思います。
尿酸と糖質の甘~く怖~い関係
先のNHKガッテン!では、肥満になると体内で血糖を処理するインスリンが余りがちになり、インスリンは尿酸の排せつをしにくくする作用があるため、尿酸値が高くなりやすいことにも触れました。
また、スイーツや果糖、糖分入り清涼飲料水などは尿酸を増やしてしまいます。糖質を摂ると痛風発作の引き金にもなっていくということです。
肥満、過食、運動不足などの生活習慣が原因で発症する痛風は、糖尿病とも同じ発症要因であるため、筆者のように併発しやすい可能性があります。
しかも二つの病気には、動脈硬化などの共通した合併症のリスクがあり、病気が同時に進行すると心臓病や脳血管障害になる危険性が加速度的に高まることは否定できません。
生活習慣からくる肥満は糖尿病を始めとする生活習慣病へのサインでもあり、ゆるい糖質オフで無理なく糖質の摂取を減らし、肥満にならないことが有効な手段の一つではないかと思います。
まとめ
痛風発作にならないように尿酸値を下げることと、糖尿病にならないように血糖値を下げること。この実現には同じ予防法で対応できます。
尿酸と糖質の甘くて怖い関係を断ち切るためには、過食しない、アルコールは適量を守る、甘いものを食べ過ぎない、野菜を多く摂取する、運動習慣を身につける、ストレスを溜めないなど、普段から生活習慣を改善することが重要だと改めて感じました。
なお、生活習慣の改善が必要な場合には、必ずお医者さんの指導の下に進めてください。ゆるい糖質オフのやり方についても、よく相談した上で実践してみてください。