白っぽい食品と黒っぽい食品
糖質オフの話をある人としていた時のことです。
白っぽい食品は糖質が多くて、黒っぽい食品は糖質が少ないんだよね!
と、その人は自信たっぷりげに話をしていました。糖質オフに関しては、自分で実践した経験はなく、糖質オフや糖質制限を一般知識として知っていた普通の方の言葉です。
確かに、白っぽいということはその食品の精製度合いが高いため、一般的には糖質が高い傾向がありますが、本当にそう言い切ってよいものなのでしょうか。
また話はそう簡単ではなく、GI値(グリセミック・インデックス値)や食べ方、調理の仕方によって、糖質の多い少ないという問題とは別に、食後血糖値の上がり方も大きく変わってきます。
GI値のおさらいをしておきますと、ブドウ糖を摂取した時の血糖値の上昇率を100として表された数値で、一般的に70以上の食品を高GI食品、56〜69の食品を中GI食品 55以下の食品を低GI食品としています。
今回は、白っぽい食品、黒っぽい食品の糖質量の検証しながら、ゆるい糖質オフ実践のためのポイントを見ていきましょう。
炭水化物の代表格の糖質量を確認してみたら…
炭水化物の代表的食材と言えば、「ごはん」、「パン」、「麺」です。これらの中から、白っぽい食品、黒っぽい食品を選び、その糖質量を検証してみました。
なお、データは『糖質量チェックブック』(監修大和田潔/永岡書店)、『糖質量がわかる全1600食品ハンドブック』(監修加藤光敏、加藤則子/宝島社)などを参考にしました。
<ごはん>
食品 | 糖質量(150g) | GI値 | |
白っぽい | 白米ごはん | 55.1g | 81 |
黒っぽい | 玄米ごはん | 53.9g | 55 |
五穀米 | 49.4g | 55 | |
赤飯 | 48.1g | 77 |
ごはんは、白米の糖質量が玄米ごはんなどより高く、白っぽいごはんは黒っぽい(白っぽくない)ごはんより明らかに糖質量が高いことが分かりました。
白米は精米して内側の糖質の多い部分を食べていることに対し、玄米は精米していないので糖質が低く、赤飯や五穀米は白米以外の素材が入っているため糖質が低くなっているのです。
食後血糖値の上昇度合いを示すGI値も、白米ごはんが81と高GI食品となっていますが、玄米ごはんや五穀米は55と低GI食品となっています。
<パン>
食品 | 糖質量(60g) | GI値 | |
白っぽい | 食パン | 26.6g | 91 |
フランスパン | 32.8g | 93 | |
黒っぽい | ライ麦パン | 28.3g | 58 |
ベーグル | 31.3g | 75 |
60gは6枚切り1枚の重さで、数値60g相当に直してあります。パンの白っぽい、黒っぽいはやや分類がしづらいのですが、白っぽくても、黒っぽくても糖質量には大差がないことが判明しました。
小麦か大麦の違いがあっても、小麦全部をひいた全粒粉であっても、糖質的にはさほど変わらないということです(小麦の表皮で作ったふすまパンは糖質量が少なく、こちらは別格です)。
ただ、黒っぽい(白っぽくない)パンは、GI値が低いことから、白っぽくないパンを積極的に選んで食べることは食後血糖値の急上昇を抑えることになります。
<麺>
食品 | 糖質量(250g) | GI値 | |
白っぽい | うどん(ゆで) | 52.0g | 80 |
そうめん(ゆで) ひやむぎ(ゆで) |
61.3g | 68 | |
黒っぽい | そば(ゆで) | 60.0g | 59 |
白っぽい麺の代表のうどんは、なんとおそばより糖質量が低いことが分かりました。これは250gでの比較ですから、うどんが250g、そばが200gで調理されると、うどんはこのまま52.0g、そばは48.0gとなり、そばの方が糖質量は低くなります。
いずれにせよ、同じ量であれば、黒っぽいそばの方が糖質量は高いという意外な事実に直面しました。
さらには、夏の風物詩のそうめんやひやむぎは、おそばとほぼ同じ糖質量であることも分かりました。これは白っぽい麺なので当然と言えば当然かもしれません。
GI値を見ると、そばは59と低GI値に近い中GI値です。ルチンなどの多くの栄養素を含むおそばは、食後血糖値の上昇も穏やかになる食材となり、糖質量が高くてもゆるい糖質オフではお薦めの食品ということになります。なお、おそばの優れた効能については、下記記事を参考にしてください。
炭水化物の食べ方、調理の仕方
このテーマはすでにご存知の方も多いと思いますが、もう一度主要な炭水化物の食品のカテゴリー別に整理してみましょう。
「ごはん」は、納豆やオクラなどのネバネバ系の食材や酢の物と一緒に食べると、血糖値の上昇がゆるやかになることは有名ですね。もちろん、ひじきやワカメ、きのこ類などの別の食材を入れた混ぜごはんや炊き込みごはんにしても、全体の糖質量は減少します。油を使って炒めたチャーハンなどは、油がコーティングの役割を果たして消化吸収がゆっくりとなり、食後高血糖の上昇をゆるやかにします。
「パン」は、糖質の少ないパンを選ぶということは必要ですが、どうしても食パンしかないという場合には、チーズトーストにしたり、バターをつけて食べると、血糖値の上昇をゆるやかにできます。オリーブオイルもつけても同様な効果がありますから、是非トライしてください。
「麺」は、固ゆで(アルデンテ)にすることです。麺だからどうしても早食いになりがちですが、固ゆで麺をよく噛んでゆっくり食べることがコツです。加えて、納豆やとろろなどのネバネバ系はもちろん、他の食材と一緒に食べることがお薦めです。
まとめ
白っぽいから糖質が多い、黒っぽいから糖質が少ないというイメージは、今回調べた範囲ではどうやら「ごはん」だけに言えることでした。「パン」は、白っぽくても黒っぽくてもほぼ同じ、「麺」は黒っぽいそばがかえって糖質が高いことが分かりました。
これで、一応は“白黒”がはっきりしたことになります。
そうめんやざるそばは、これからの暑い季節にかけて食べる機会が多くなります。糖質量やGI値の傾向を把握しておきましょう。
それぞれにGI値の違いがあり、調理の仕方や食べ方によっても食後血糖値の上昇の仕方が違うことから、この点にも注意が必要でしたね。
ゆるい糖質オフは1日にしてならず。コツコツとゆるくやっていくことが、将来の勝ち組となります。